[論文]佐藤(遺伝情報研究部門)がBiomedical Research 誌に共同研究者として論文を発表しました。
旭川医科大学の研究グループとの共同研究において、佐藤貴弘(遺伝情報研究部門)がBiomedical Research 誌に共著論文を発表しました。
Daisuke Koga, Satoshi Kusumi, Takahiro Sato
Biomedical Research (Tokyo), 47(1):35–46, 2026.
私たちが「お腹がすいた」と感じるとき、その情報を伝えているのがグレリンというホルモンです。グレリンは胃の中に存在する内分泌細胞から分泌され、食欲やエネルギー代謝の調節に重要な役割を果たしています。しかし、グレリンを産生する細胞がどのような構造をもち、どのように機能しているのかについては、これまで詳しく分かっていませんでした。
本研究では、細胞をナノメートル単位で連続的に薄切し、走査電子顕微鏡を用いて画像を三次元的に再構築することで、グレリン産生細胞の立体構造を細胞小器官レベルまで詳細に解析しました。その結果、グレリン産生細胞には一次繊毛(外部環境の情報を感知すると考えられる細胞内構造)をもつ細胞ともたない細胞が存在することが明らかになりました。
さらに、一次繊毛をもつ細胞では、グレリンを含む分泌顆粒が細胞内の限られた領域に集まって配置されている一方、一次繊毛をもたない細胞では、分泌顆粒が細胞全体に広く分布していることが分かりました。これらの違いは、グレリン産生細胞の中に、外部からのシグナルを受け取りやすい構造をもつ細胞と、ホルモン分泌により適した構造をもつ細胞が存在し、細胞集団としてグレリン分泌をきめ細かく制御している可能性を示しています。
本研究は、食欲やエネルギー調節という身近な生理現象が、細胞内部の立体的な構造と深く結びついていることを明らかにしたものであり、ホルモン分泌の新たな理解につながる成果です。